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さて、何と言うか、気持玉100超えましたね。 ありがとうございます。しかし、恋姫人気かそうでないかが少し気にならなくも無い。 さて、今回、別にそんな心算ではなかったのですが愛紗がヤンデレ呼ばわりされてしまいました。 うーむ、いや、ほんとにそんな心算ではなかったのですが、しかし、言われるとなんかしっくりきてしまうから困る。 しかし、別に一刀アンチというわけでもなく、出てこないだけで鈴々や朱里からの好感度は下がってないし、あんま下がらない気もします。特に鈴々。まぁ愛紗はかなりアレですが。 それと人生の旅人さん、もう暫しお待ちくださいというか、何処まで公開して何処まで公開してないか、随分間が空いたのと自分に節操が無い為把握しきれておりません。なので待ちください。 と言いつつ、新たな作品を投下する予定だったりそうでなかったり、あとカナちゃんは独占欲強いよ的な話を書く気だったり。またツンデレカナちゃんに萌える人は来るのだろうかとか思いつつ。考えてるシーンを書こうかと思ってます。 そしてTシローさん、判ってしまいましたか。 いや、全くその通り。自分とカナちゃんのアホ頭ではこの展開しかなかった。 まぁ其れも前から考えてた事ではありますが。 そして……エヴァか……世界観が違いすぎる……出して良いんだろうか? さて、それでは相変わらず凄い事になりますが終始こんな感じですのでまぁ流してくださいという事で。 7話投稿です。何か筆が(筆じゃねぇけど)進む。どうやら波が来ているようです。 始まらない恋姫無双・7 「続(?)・すれ違う恋姫無双」 やれやれ、かなりの勢いで北郷の株が下がってしまったっぽいが、それ以外はどうにかそれなりに丸く収まったようだ。 俺はその事に内心ホッと溜息を吐いていた。 まぁ、完全に安心して良いとまでは言わないが。 何しろ、あの二人、孫権と周瑜(だったっけ?)は明らかに敬意どころかその正反対の感情を向けてるし、関羽も似たようなモンである。 まぁ、関羽がそれでも若干二人より柔らかい気がする(気がするだけかも知れんが)のは、多少は北郷の知識に助けられたりしたからなのだろうか。 しかし、これで漸くあのサラシ女の処遇について聞けるかと思った所、周瑜が何か口を開いた。 「それでは、この方には我々と共に来て貰うとしましょう……、無論、この戦いが終ってからの話になるでしょうが。 仮にも、天の御遣いを一人は有している訳なのだし、まさか独占する心算等とは言わないでしょう?」 イキナリの引き抜き宣言である。 というか、其処に俺の意見が存在しないのは何故なのか聞きたい。 何故か当人である俺を無視して勝手に決められようとしている俺の処遇。 だが、「何か言ってやれ」と密かに期待していた馬超ではなく、口を開いたのは何故か関羽だった。 「ふざけるな! 何故そのような事になる! どうしてもと言うなら北郷殿を連れて行けば良いだろう」 関羽の発言に盛大に凹む北郷君。 いと哀れなり、と言いたいところだが他人に同情できるほど俺の今の立場も宜しくは無い。 しかも馬超に視線を向けたら気まずげに視線を逸らされた。今の雇い主は馬超達なのだから、せめてこの場を納めるだけでもやって欲しいのだが。 まぁ、明らかにアホの子である馬超では、あからさまに策士系な雰囲気を滲み出させている周瑜相手ではあっさり言い負かされてしまう気がするが。 威勢は無駄なくらい良いのだが、威勢くらいで何とかなる相手には見えないし。 仕方ないので頼りにならん馬超の事は忘れ、とりあえず本人ガン無視で俺の所有権を主張する呉の二人組みを見る。 が、その初めてあった時と変わらない、あんまりにもあんまりな服装に、俺の視線はついつい下のほうへいってしまっていた。 俺は、言うまでもないかも知れないがアレである。 だが、それでも性別的には立派に男。まごう事無き男であった。 間違えようの無いような物もしっかりついてる、それも間違えようが無いレベルの大きさのものが。 故に、見えそうで見えないというギリギリ感に注視してしまうのは、仕方のない事だと思う。 が、ふと視線を上げ、関羽と目が合い、そして顔を赤らめた関羽に目を逸らされた時。 俺は自分が何処を見ていたのかを気取られた事を察した。しかも、見ればどうやら周瑜と孫権も気付いてる様だ。顔赤いし。 馬超は何故かそんな関羽達の反応、そして何故か俺にも若干苛立ちを見せているが。 睨んでくるが、俺が目を合わせようとすると顔を赤くして逸らす。全く訳の判らん奴である。 普段は判り易過ぎるというか、寧ろ丸判りなのだが、何でこういうときに限って意味不明なのか。 だがしかし。 俺はこの状況に危機感を感じてはいなかった。 どころか、寧ろチャンスだとすら思っていた。 うむ、普通に考えればぶっ殺されてもおかしく無いというか、これを指摘した時点で刃向けられるかも知れんが。 しかし、今この時を逃しては次いつチャンスが来るか判ったモンじゃねぇ。 ならば、此処で言わせて貰うとしよう。俺自身の株を下げる為に。 「力の天の御使い殿、我々の所へ来て頂けませんか?」 若干だが、客将という事であんま良くない陣地を貰ったのか、俺のいるトコは傾いている。 寧ろ傾いてるトコに他と同じように建てる苦労を考えたら、まだちゃんと平らな場所を探した方が良いような気がするが。 多分アレだ。俺が馬超にタメ口利いてるのを快く思ってない連中の仕業だろう。馬超は、アイドルみたいに兵から好かれてるし。無論、飾りじゃなくて実力は馬超軍の誰よりある(母親より上かどうかは知らん)が。 俺が立ってるトコは低くなっていて、連中のいるトコは高くなってる。 なので、見えやすくなってしまってる訳で。 俺の視線に気付いたと思われるコイツ等が、そんな発言をするのは予想していた。 まぁもししなかったら俺から切り出すつもりでいたが。 穏やかな言い方をしているが、内心腸煮えくり返ってると見ている。 多分あの発言も「ガン見してんじゃねぇよ、こっち来いやボケェ」という本音を上手くオブラートで包んでるに違いない。 ならば、俺の返す返答は決まってる。 「断る。 此処からでなければ、見えないものもある」 真面目な顔で、屹然と、エロ発言。 これは顔をだらしなく崩して言うよりもそういう方面に対する本気っぷりをアピールする事で株を下げる事が出来るだろう。 何だコイツダメじゃないかと幻滅させる事で俺への興味を殺ぐのだ。 が、反応がおかしい。予想していた蔑みの視線に備え心を固めていたのだが。 何か更に熱いまなざしで見つめられている。特に関羽。正直恐ろしいくらいだ。 こんな筈ではない……、そう思い、必死に理由を探る俺。 そして俺は閃いた。それなりに納得できる、そして当たってるならまたしても自分の首を絞めることになる推測を。 ……まさか、こいつ等露出狂か? バカな……、国のトップが露出狂とか、色んな意味で天職じゃねぇか! しかし、そう考えればあの変な所が空いてる服も理解が出来る……。 だが、待て……、という事は! 俺は、株を下げる心算で逆に悦ばせてしまったって事か!? ふざけんな、こんなん予測できるかボケェ!! とりあえず早急に何か言わねばなるまい。 悪い意味(俺にとって)で誤解されてるっぽい先ほどの言動に何か付け足そうと思い。 俺は口を開きかけ。 「その話、私も一枚噛ませて貰っても良いかしら?」 新たに響いてきた声に遮られた。 その事に俺はうんざりしながら闖入者へと視線を向ける。 其処に立っていた、新たなる登場人物は3人。 黒髪の、デコの広い、あからさまな武人風の女と、ソイツと似た見た目の、水色の髪の女。 そして、その中央には髪の両側にロールついた、如何にも気位の高そうな女が居た。 どうやら、先ほどの発言をしたのはソイツらしい。 馬超と北郷を除く全員の射殺さんばかりの視線が新たに現れたロール女に突き刺さるが、ロール女は何処吹く風だ。 色んな意味でかなりの大物のようである……体格等は色々小さいが。 「また私にくだらない事を言いに来たのか?」 「貴様! また華琳様にその様な口をッ!!」 タメ口で質問を発したのは関羽。 既に何か言われていた事があるらしく、嫌悪を隠そうともしない。 その態度に、早くもお付の一人、黒髪の方もキレかかっている。 かなりブチギレ易いようだ……、こんな瞬間湯沸し機みたいなのでお偉いさんが務まるのだろうか。 「止めなさい、春蘭」 しかしロール女は冷静である。 まるでそういう態度をとられる事は織り込み済みだとでもいうようだ。 そして、そのロール女の言葉に、渋々といった感じに矛を収める黒デコ。 ところでこいつ等は何者なんだろうか? とりあえず呼び合ってる名前は真名だと思うので迂闊に呼べないが、かと言って名前を知らないのだ。 名前を知らないと対処にも困る。「オイ其処の」とかじゃ流石に拙かろうし……何より黒デコが黙ってないだろう。 「曹操殿か……。 一枚噛むと言っていたが、どういう意味かな?」 「言葉通りよ。 其処に居る力の天の御遣いとやらを、私達の陣営に引き入れようと思ってね」 孫権の問いに淀みなく答えるロール女……、コイツが曹操か。 だが、その言葉に全員が、それこそ付いてる黒デコやクーラーまでもが驚きの表情を見せる。 もしかしてコイツの人材募集要項って無茶苦茶厳しいとか限定的だとかなのだろうか? そんな俺のささやかな疑問は、直ぐに晴らされた。 驚きを隠そうともせずに、馬超が言った、その言葉によって。 「バカな! レズで有名なアンタがなんでコイツを誘いに来るんだよ!?」 成る程、ズーレーさんでしたか。 一国の主がズーレーとかもう、人としてどうかと思うんですがね。 強い女が好きなんですね、関羽にもコナかけたんですね判ります。 疑問は氷解した。 黒デコの時折ロール女を見る熱い眼差しの意味も知った……正直知りたくも無かったが。 だが、そうなると疑問がまた出てくる。何故、バリバリ男な俺を自陣に迎え入れようとするのか。 ――――――まさか……、女装させる気じゃなかろうな。 俺の過去の思い出に、一瞬黒い影が過る。 女装。過去何度となく行ってきたが、決して一度だって、望んでやった事は無かった。 しかも大概ロクな事にならなかった為、コレ関連にはロクな思い出が無い。 まぁ女装という行為自体がろくでもないせいもあるだろうが……何でやたらヤローにもてるのかと戦慄した覚えがある。 俺は戦慄の思いでロール女を見る。 そんな俺の視線を知ってか知らずか、ロール女は、先ほどとは違い、なにやら考え込むようにしつつも馬超の言葉に答えた。 まるで、自分の中でもまだ整理が出来てないというかのように。 「そうね、確かにそう思われてるのは認めるし、否定する気もないわ。 けど、私自身不思議に思ってるのよ。この「男」を欲しいと思ってる事にね。 アレを見たとき、私の中の何かが告げたのよ、「欲しい」と。 だから私は、それに従って此処へ来たに過ぎないわ」 なんて事だろうか。 レールガン一発で何で事態がこんなに悪化しなくちゃならないんだろうか。 絶望する俺。そして、コイツのトコにだけは行ってはいけないとも思う。 最初は、(友人からの俄か知識のせいで)最有力候補だったのだが。 安全は欲しい、が、女装は嫌だ。 させられると決まった訳ではないが、コイツが生粋のズーレーである以上、何れはさせられてもおかしくはなかろう。 やはり、断るしかない。当然、さっきの様に、屹然とした態度でアホ発言して呆れられるようにするのも忘れない。 「確か、カインと呼ばれていたわね。 私と共に来なさい、カイン」 「断る」 先ず、相手の勧誘どころか命令に等しい言葉に断りを入れる。 それから一息おいて、俺はオマケをくれてやる。 「お前には、胸囲が無い」 コレで良いだろう。 少なくともコレで、お付の黒デコはキレる筈だ。 案の定、プルプル震えだした黒デコ。どうやら怒りを溜め込んでいるようだ。 そして――――――。 「馬鹿を言うな、華琳様のコレは欠点などではない! 華琳様は常に攻め役だからコレで良いのだ! 貧乳はステータスだ!!」 勢い良く言葉の羅列を捲くし立てる黒デコ。 もう何か必死ささえ感じる。というか、仮にも公の場でこんな内容が判り、しかも恥以外の何にもなりそうに無いぶっちゃけをかまして良いのだろうか? まぁ俺には好都合では有るが。少なくともコレで心象最悪の上、他の連中も――――――。 「そんなバカな事をこの局面で言う筈が無いでしょう、春蘭。 あと、貴方にはお仕置が必要な様ね?」 いえ、黒デコの解釈で合ってます。 その馬鹿な事を言った心算です俺は。 俺の発言の正しい解釈をした黒デコを否定するロール女。 そしてお仕置きを言いつけられて顔を赤く、だらしなくとけさせる黒デコ。 コイツ、実は狙ってやってるんじゃなかろうか? 脳筋と見せかけて実は策士か、と黒デコを見やる俺。そして言葉を続けるロール女。 「この男はね、私に、この曹孟徳に、脅威など感じないと、そう言ってるのよ。 取るに足らない、何時でも潰せる存在だ、とね」 いえ、そんな事は全く言ってませんよ? 勝手な解釈をしないで下さいお願いですから。 ロール女の間違いまくった解釈に、うんうんと満足そうに頷く孫権、周瑜、関羽。 その答えは致命的なほどに間違ってるのだが、本人的には真実らしい。 迷惑過ぎる事この上ない。 そして首を傾げたり油断無く見据えたりの馬超、北郷、クーラー。 良かった。まだこの地に措いて良心は絶滅していなかったようだ。 最後に、瞬間湯沸かし機こと黒デコは。 「貴様ーーーッ!!」 どうやら堪忍袋の緒が切れてしまったらしく斬りかかって来た。 咄嗟の事に、止めるにも間に合いそうに無いロール女。 ところで、俺の発言も問題連発だろうからあんま他人の事は言えないが、これも相当な問題行動ではなかろうか? と、その時。 突然の地震が、この場を襲った。 思わずたたらを踏む武将達。 しかし、地震大国とも呼ばれる日本人である俺や北郷は、この程度の揺れ等モノともしない。 俺など、地震の揺れ具合からマグニチュードをある程度推測できるくらい慣れ親しんでいる……、いや、親しんではいないか。 だが、俺自身は大丈夫でも他はそうも行かなかったようで。 俺の胸ポケットから、ガムテープでグルグル巻きにされた仮契約カードが零れ落ちてしまった。 以前から穴は開いていたのだが、割とギリギリなサイズの穴だったので早々出る事は無いと楽観視していたのが悪かったようである。 しかし、咄嗟にそれを掴もうと、中腰になった俺は、そのバランスの悪い姿勢のせいで、その時に運悪く来た一際強い揺れに、思わず膝を突いてしまう。 それに伴い、空中で、落下する仮契約カードを掴んだ俺の手も、握り拳のまま地面に当たる。 そして、そのタイミングで何故か止まる地震。その偶然に、俺は一瞬、まるで自分が止めたみたいな錯覚を覚えた……、無論俺にそんな力は無いが。 俺は気を取り直して立ち上がり、周囲を見渡す、と、一番最初に黒デコと目が合った。 何でか知らないが、腰を地面につけ……即ち転けたまま、呆然と俺を見上げる。何故かその瞳に含まれる多量の恐怖心。 しかも、見れば周りの連中まで全員俺に注目している。しかも大概驚きとか化け物を見るような視線だ。 最初は、人が転ぶ所を見てせせら笑ってるのかと思ったのだが、どうにも違うようだ。 しかし、何でこんな目で見られるのか。 疑問が思わず口をつく。 「何だその反応は?」 溢しながら、とりあえず、先ほど襲い掛かってきたが故最も近くに居た黒デコに視線を向ける。 何故か怯えた様な目が返ってきた。顔が怖いと言われた事はあれど、こんな猛者に口を開けなくするようなレベルのものではない筈だ。 が、俺と目のあった黒デコは「あ……、あ、あ……」と、声にならない言葉を繰り返すばかりである。 しかも、腰を抜かして転んでるコイツを誰も助けようともし無いというこの状況。 それどころか、全員の視線は俺を捉えて離さない。俺に起こせというのだろうか、先ほどこいつに斬りかかられた俺に。 正直この仕草が芸で、近寄った瞬間「かかったなアホがッ!」となったりしないだろうか? 別に斬りかかられても並みの威力では効かないので、良いといえば良いのだが。 しかし、こんな沸点の低い危険人物に進んで近づきたくないのも事実。 なので、俺は代わりに声をかける。 「何してる、さっさと立て。 その足は飾りか?」 お偉いさんには判らない台詞を言い、黙って見つめる。手を貸す気はない。 何故か関羽が殺気を放ち始めたのは、流石に評価を下げたかと思わせてくれたが、どうも対象が俺でない気がする。 が、このタイミングで俺以外に殺気を放つ意味が判らんので気のせいだろうと俺は結論付けた。 ゆっくりと、立ち上がろうとする黒デコ。 そして、全くそれを手助けしようとしない周りの面々。 俺が言えた台詞ではないが、誰か手を貸してやれよと言いたくなる光景である。 そして、たっぷり五分は掛かって漸く黒デコが二本の足でしっかり立ち、俺に視線を合わせてくる。 しかし、何だろうかこの「どうですか」的な雰囲気は? 頭を撫でて欲しい犬みたいな目は? アホだろうか。赤ん坊じゃ有るまいし高々自力で立てたくらいで何だっていうんだろうか。 しかし、これで漸く全員動ける状態になっただろう訳で。 俺はとっととこの状況を打破すべく口を開いた。 「やりゃ出来んじゃねぇか。 さて、用件は終わりだよな? 俺は今んトコどっか特定のトコに付く気はねぇ。 序でに言っとくと、俺はこの場には居るが正直董卓とやらをどうこうする気もねぇ。 ……ああ、そうそう、北郷は残れよ、ちっと話があっから」 俺の発言に、渋々といった様子ではあるが帰ろうと踵を返した面々だが、最後に付け足した一言でその視線が全員北郷へ向く。 何か全員に睨むように見られる北郷であった。何では知らないが良い気味である。 だが、俺のやる気のなさをアピールした、この連合軍の最大の目的であろう董卓云々への事柄は華麗にスルーされた。 なのでこの辺は、後で改めて態度で示そうと思う。 ――――――しまったな。馬超にも残ってもらうんだったか。 ……まぁいっか、一緒の軍だし、何時でも話は出来る。 [SIDE:愛紗] 天幕から追い出されても、私はその事に然程怒りは感じなかった。 寧ろ、先ほどのあの方の威風堂々とした佇まいを思い出すだけで体の芯が熱くなる様な気さえする。 呉どころか、あの魏の曹操を前にしてもまるで取るに足らないと切って捨てたあの恐るべき胆力。 最初から最後まで私達をロクに見てすらいなかったのには少しばかり残念な気持ちがあるが、それは私達の至らなさが原因だろう。 それに対して、無念はあっても憤りはない。 私は、呉の対応に、そしてその呉へのあの方の対応に、心中で嘲りを浮かべる。 直接会い、その智謀で助けられた割には、あの二人はあの方の視線の意味に気付けなかった。 だからあんな間抜けな誘い方をして、すげなく断られた、そう思うと笑いがこみ上げそうにさえなる。 視線には気付いていたのだろうに、それに対して自分達を見、認めていた、とでも思い上がっていたんだろうか? 全く以って違う。あの方は初めから私達などほぼ眼中にすらない。 視線が私達の顔ではなく足元辺りを彷徨っていた理由は一つ。 私達の足元にあるであろうもの、つまりあの方はあの場でも下にいる民草の事しか考えていなかったという事だ。 其れ故のあの言動、そしての視線でヒントすら出していたというのに。 成る程、見限られた私と比べれば、ヒントを出して頂けた分、認められてはいるのだろう。 だが、あの二人は其れを生かせなかった。ならば向ける感情に落胆が混ざるのも時間の問題。 いや、無関心か。あの方は落胆すらせず、ただ見限るだけかも知れない。私の、様に……。 しかし、そこまで良い気分だった私は、魏の事を、正確には魏の一人の事を思い浮かべ、苛立つ。 夏侯惇。確か魏の将の中でも最強と謳われる存在。 しかし、それをあの方は歯牙にもかける事はなかった。 そして、身の程を弁えず向かってきた夏侯惇を、その牙を何の気なしに圧し折った。 ……震える大地を、拳一つで収めるという想像を絶する力を以って。 「何だその反応は?」 まるで、出来るのが当たり前の事柄に何故驚くのかと言わんばかりの発言。 事実、あの程度はその気になれば造作もない事なのだろう……、恐らくは朱里の至高の策すら食い破る、比べるのもおこがましい、圧倒的な力。 そこまでは良い。 自力で立ち上がろうとする夏侯惇を、そして、其れを黙って見据えるあの方を見て、強烈な嫉妬が私の中に渦巻く。 呉の二人はまだ良い。実際に会って何かしらを認められたのだろう、故に多少の注目も納得は出来ないが理解は出来る。 だが、何故夏侯惇であり、そして翠なのか。何故私ではないのか。 立ち上がろうとする夏侯惇をじっと見るあの方、カイン殿。 私達全員に向けた視線に、手を出すなという意味を見出し、私達が動けない中。 あの方に見据えられ、否、見守られ、どれほどあの夏侯惇が己の気持ちを奮い立たせたか、判らない。 だが、これだけは言える。 夏侯惇が立ち上がった時、私の胸に去来したのは、ただ、憎悪だった。 何故、私に機会は与えられず、恐らく初対面で、しかもあれほどの無礼を働いた夏侯惇が認められるのだ。 何故、あの場にいたのが私ではないのだ。 何故、何故、何故、何故何故何故何故何故何故何故何故ナゼナゼナゼ……。 そしてもう一人、北郷一刀。 あの方とあの男との共通点はなんなのか。何故あの男が特別扱いを受けるのか。 後で問い詰めねばなるまい、と私は心に刻んだ。 「いやぁ、流石にびっくりしたなぁ」 私の横で暢気そうに翠が口を開く。 そうだ、認められているというなら翠も同じだ。 それどころか彼女など、一時的にとは言え、仮宿に使って頂くほどの信頼を受けている。 だが、と私は考えた。 ならば、翠と夏侯惇との共通点とは一体何だろうか? 強さというなら、私とて引けはとらない……否、勝つ自信さえある。 少なくとも其れであの方が私を視て頂けると言うのならば、あの飛将軍と呼ばれた呂布すら討ち取って見せよう。 しかし、何かが違う。 そんな私の考えを、まるで察したかのように、翠が口を開く。偶々だろうが 周瑜、孫権は、余計な口は挟まず、ただ見に徹していた。 「自分の事を貶めるような事言うのはアレだけど、アイツにも結構言われてるから。 「馬鹿さ」じゃないか?」 「何だと貴様ッ!」 翠の発言に、すかさず食って掛かる夏侯惇。 自分が馬鹿にされてる事が判ったのだろう、早くも武器に手をかけている、が。 「否定できないわね」 「そんなっ! 華琳様ぁ〜っ!」 真剣な顔で同意する曹操に、途端に泣きそうな顔になる。 情けなさを曝け出す夏侯惇を気にせず、曹操は翠へ「続けて」と続きを促した。 その言葉に釈然としない顔をしながらも、翠は言葉を続ける。 「『愚か者は保身を考え裏切る、馬鹿者は保身が頭に浮かばないから裏切らない。 間違いなく早死にするのは馬鹿者で、総じて愚か者の方が長生きする。 けど、俺はそんな馬鹿のほうが好きだよ』とか言ってたっけな……、あれ、もしかして馬鹿者ってあたしの事……///」 「そんな訳無かろう」 「な、何だとーーーッ!!」 何やらあの方の事を思い、顔を赤くする翠。 そして、そんな翠に苛立ったように否定の言葉を吐く夏侯惇と、それに怒る翠。 全く以って同レベルだ、だが。 馬鹿……か。 小賢しい愚か者よりも、何も考えずありのままに受け止め、ありのままに行動する馬鹿。 私達のところで言えば……、鈴々か。 こればかりは性分がモノを言うだろう。 恐らく、呉の二人、周瑜、孫権、それに魏の曹操、夏侯淵、其れに私。 私達では、そうはなれない。どうしても考えてしまう。 自分に無いものを持つ。 たったそれだけで、鈴々との間の絆が薄まるような気がしてくる。 私が焦がれてもそう有れないものを当たり前のように持つ。羨ましい……、そして妬ましい。 だが、そこまで考えて、ふと思い返す。 ならば、あの男、北郷一刀はどうだったのか。 あの男はそこまで馬鹿ではない筈だが、それでもあれ程の信頼を受けている。 ならば、まだ何かがあるのだ。 其れを知っているあの男を手元におけるのは、不幸中の幸いか。 そう考えながら、私は少しばかり考えていた事を試す為、口を開いた。 完全に敵となるか、それとももしかすると味方になるか、それを判断する為に。 「曹操殿」 「? 何かしら関羽、突然改まって」 私の、突然の丁寧な言葉に驚いたのか、こちらを向く曹操。 不意を突かれたからか、少しばかり驚いた表情だ。 が、恐らくこれからもう少し驚く事になるかも知れない 「条件付で、貴方に下る、と言ったら、どういたしますか?」 私の発言に、全員が驚きを見せた。 先ほどの天幕の中で曹操への私の態度を鑑みるに、私のこの発言はさぞ驚くべきものだろう。 だが、曹操は揺るがなかった。 「断るわ」 間髪入れず即答。 その発言にも、曹操の私への執着を知ってる全員が驚きを見せるが、私は驚かなかった。 代わりに私にあったのはやはりという納得だけ。 「理由を聞いても?」 「条件と言うのは恐らくあの男に関する事でしょう? 貴方の考えは判らなくも無いわ。 けど、貴方の条件を飲めば貴方が手に入ってもあの男を手に入れる事は出来ないでしょう? 私はね、関羽。両方とも欲しいのよ」 私の『条件』を正確に察知している事に驚きは無い。 代わりに、私は心中で牙を剥く。 あの方を抜きにすれば、殆ど最高格の力を持つ、その相手へ。 ――――――ならば、お前は私の敵だ。 |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
カナちゃん最高!! |
孤高のなにじゃ 2009/09/13 10:48 |
ついに愛紗が完全にヤンデレ化してしまった…… |
逸般人 2009/09/13 12:20 |
愛紗の病みぐあいがハンパないですね、 |
oruneri 2009/09/13 17:03 |
地震をカナちゃんが起こしたと勘違いされるのかと思いきや、地震を止めたのがカナちゃんと思われるとは(w |
Tシロー 2009/09/13 18:27 |
地震をカナちゃんが起こしたと勘違いされるのかと思いきや、地震を止めたのがカナちゃんと思われるとは(w |
Tシロー 2009/09/13 21:32 |
地震止めるとか・・・史上最強の生物みたいですねww |
妖 2009/09/13 22:26 |
……手遅れだったか。 |
: 2009/09/13 22:30 |
力の天の御遣いの評価がどんどん人外になっていく。このままでは要が天下統一してしまう。 |
湖我 2009/09/13 22:39 |
春蘭と要、馬鹿同士何か通じ合ったのかw |
マミー 2009/09/14 04:34 |
カード、ガムテープで巻いてから随分経つけどベタベタになってないのかが気になる |
ルシフル 2009/09/14 10:22 |
何時でも何処でもカナちゃんを巡っての争いは激しいですね。その争いすらも勘違いでスルーするカナちゃん大好きだぞー( ̄∀ ̄) |
クボック 2009/09/14 16:11 |
初めて春蘭が可愛く見えた…; |
渡し守 2009/09/15 18:38 |
一刀涙目wwww |
ゆきねこ 2009/11/03 21:44 |
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